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(編集後記) まだ鳴らすことのできる鐘を鳴らそう  ーー『まだ誰も見たことのない「未来」の話をしよう』(オードリー・タンさん 近藤弥生子さん)

地球温暖化や格差社会など、先のことが案じられる世の中。

台湾のデジタル担当相でもある、オードリー・タンさんに、デジタル、社会、SDGsと世界というテーマで、「未来」について語ってもらいました。

担当として、印象に残っているのは、オードリーさんの
「未来のことは心配していない。なぜなら自分たちが社会を作っていくから」という考え方。こうした意識の違いで、物事の見え方が変わっていくのだろうなと感じました。

そして、「デジタル民主主義」を謳うオードリーさんが見ている社会は、一人一人が知恵を出し合って、社会全体をよい方向に変えていこうという社会です(「いや、自分社畜ですから……」みたいに思っている人にも、「そう思っていること自体が大切なんですよ」ととってもやさしいです)。

コロナ以降、社会環境が大きく変わってきて、その中で何が自分にできるのかを自問自答した方もいらっしゃるのではないかと思いますが、冒頭の「まだ鳴らすことのできる鐘を鳴らそう」は、そんな思いを持った方に対するオードリーさんのメッセージでもあります。

目の前に裂け目が見えているのなら、そこであなたができることはあるよ、と背中を押してくれそうな1冊になっています。

最後に、子どもがいる自分からして、「これから」の世の中についてはすごく気になるところがあります。私たちが「安定したキャリア」と思っていたものはそうでもなくなっているし、テクノロジーで世の中への関わり方も大きく変わりました。でも変化の向こうにある、一人ひとりが持ち場を見つけて活躍できる世の中は、これからの人たちにとっても、今現役の人にとっても明るい場所であるように思います。今後社会で活躍する10代の方にもぜひ手に取っていただきけたら嬉しいです(T)。

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『まだ誰も見たことのない「未来」の話をしよう (SB新書)』
オードリー・タン近藤弥生子 |
¥990(税込)  2022/3/5発売

オードリー・タン(Audrey Tang 唐鳳)・語り
台湾のデジタル担当政務委員(閣僚)、現役プログラマー。1981年4月18日台湾台北市生まれ。15歳で中学校を中退し、スタートアップ企業を設立。19歳の時にはシリコンバレーでソフトウエア会社を起業。2005年、トランスジェンダーであることを公表(現在は「無性別」)。アップルやBenQなどのコンサルタントに就任したのち、2016年10月より、蔡英文政権でデジタル担当の政務委員(無任所閣僚)として、35歳の史上最年少で行政院(内閣)に入閣。2020年新型コロナウイルス禍においてマスク在庫管理システムや「ショートメッセージ実聯制」を構築、台湾の防疫対策に大きく貢献。デジタル民主主義の象徴として、世界にその存在を知られる。

近藤弥生子(こんどうやえこ)・執筆
台湾在住の編集・ノンフィクションライター。1980年福岡生まれ・茨城育ち。東京の出版社で雑誌やウェブ媒体の編集に携わったのち、2011年に台湾へ移住。現地のデジタルマーケティング企業で約6年間、日系企業の台湾進出をサポートする。2019年に日本語・繁体字中国語でのコンテンツ制作を行う草月藤編集有限公司を設立。雑誌『&Premium』『Pen』等で台湾について連載。オードリー氏への取材やコーディネートを多数手がけ、著書数冊を上梓。オフィシャルサイト「心跳台湾」。


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