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患者が知らない精神科医療の裏側を明かす! 『精神科医の本音』

精神科医療には偏見が多く、「うつ病は甘えだ」と言う人も珍しくありません。心や意識とは、人体を構成する臓器の一部である脳の中の、ほんの一部が生み出す機能です。なので、胃腸が悪くなったり、肝臓が悪くなったりするように、脳も調子を崩すことがあります。
うつは甘えなどではなく、単なる臓器の不調です。しかし、そういうふうにはなかなか思えない人もいるようです。
また、弱い人間だと思われたくない、という理由で精神科の受診を拒否し、うつ病が悪化し、自殺を選ぶ方もいます。
「悩んでいたんだろうか? せめて相談してくれれば」「自殺するそぶりは見せなかったのに」という周りの声はよく聞きますが、「早く病院に連れていってあげていれば……」「早く薬の治療を開始していれば……」という声はあまり聞きません。
うつ病は人口の1割がかかるとまで言われており、実は身近な病気なのですが、まだまだその認識は低いようです。偏見や誤解、周囲の無理解などを気にして、啓蒙が進まず、受診にいたらないケースもあります。
これらの問題意識から、私は精神科医療全般について伝えるため、この本の執筆を開始しました。精神疾患の知識のみならず、精神科医療の仕組みも知ってもらいたいと思っています。
それでは、なぜ精神科医療を知るべきなのでしょうか。どうして精神科医や精神科病院の仕組みまでも知らないといけないのでしょうか。
それは、精神科だからこその独自のルールや文化が多数あるからです。それを知らずに受診すると、医師や病院に対し、腹を立てたり、失望したりしてしまいます。
たとえば精神科医は5分しか話を聞きません。これは保険診療の都合上、仕方がないことなのですが、そのことを知らないと、いざ受診した際に、おそらくみなさん、びっくりしてしまうでしょう。診察の途中であっても、席を立たされてしまう人も珍しくなく、待合室で待っていると、泣きながら部屋を出てくる人もいて、驚かれるかもしれません。
私たち精神科医は、ただ金儲けのためにやっているのではなく、患者さんと真摯に向き合い、自分の人生を彼らのために費やしています。それでも、誤解されてしまうことが多い仕事です。
今回、これらの裏事情を包み隠さず、書き記しました。
私は防衛医科大学を卒業後、自衛隊内で精神科の医師として働き、退職後、民間病院を経て、独立開業しました。診察室での患者さんへの疾病説明の不足を補うために、2019年12月末からYouTubeを始めました。当初は身近な人や通院中の患者さんだけが見ていたYouTubeでしたが、少しずつ遠方の人も見るようになり、今では登録者30万人超(2022年7月現在)、1日の再生数が50万回を超えるときもあります。
私は、これがなければ、本の執筆とは無縁な存在でしたし、特別な知識や技術があるわけではないかもしれません。
それでも、このありがたい機会に感謝し、平凡な一精神科医として、多くの方に知っておいてほしい精神科医療の実情について、正直に話そうと思います。


益田裕介(ますだ・ゆうすけ)
早稲田メンタルクリニック院長。精神保健指定医、精神科専門医・指導医。防衛医科大学卒業。防衛医科大学校病院、自衛隊中央病院、自衛隊仙台病院(復職センター兼務)、埼玉県立精神神経医療センター、薫風会山田病院などを経て、早稲田メンタルクリニックを開業。一般向けに、わかりやすく、精神科診療について解説するYouTubeチャンネル「精神科医がこころの病気を解説するCh」を運営し、登録者数は30万人を超える。

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